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2011
ニホンザリガニ(日本喇蛄)Cambaroides japonicus は標準和名はザリガニであり、唯一の在来種であるこれを狭義のザリガニとして扱う。日本固有種であるザリガニは、他のザリガニ類と区別するためにニホンザリガニあるいはヤマトザリガニとも呼ばれる。
ニホンザリガニは大きさは4~6cmと小型で、体色は暗褐色。アメリカザリガニと比べると、体形がずんぐりしていて、ハサミが丸く大きいという特徴があり、甲らの表面はなめらかで、あきらかな突起も無い。
「ザリガニ」は江戸時代の文献から見られ、漢字表記では現在ではほぼ使われていないが「喇蛄」と書かれる。江戸期には異称としてフクカニやイサリカニとも呼ばれており、ザリガニの語源には、砂礫質に住むことからジャリガニ(砂利蟹)とする説や、体内で生成される白色結石から仏舎利を連想してシャリカニとする説もあるが、後ずさり行動に由来するイザリガニ(居去り蟹)の転訛とする説が最も有力である。昔は、発達したあのカニのようなハサミから、カニの一種として扱われ、後退りするカニと言う事から、後退り蟹となり、退蟹と呼ばれ名前の由来だと言われているが、どちらかと言うとエビの仲間。また、アイヌ語においても幾つかの呼称があり、ホロカアムシペ(horkaamuspe)やホロカレイェプ(horkareyep)など「後ずさり」を意味する語源が見られる。
地域の人々と本種とのつながりは非常に古く、食用や薬用としての記録は江戸時代の文献からも見つけることができ、特に胃石は、良質のカルシウム成分であることからか、漢方原材料として重宝され、その効能はシーボルトによってヨーロッパにも紹介されたほどで、胃石が眼病や肺病などの民間療法の薬として使われていた。
1920年-30年頃に移入されたウチダザリガニによる捕食、さらにはこれら外来種のザリガニが持ち込んだ寄生虫や伝染病、河川環境の悪化、採集業者の乱獲などが重なって次々に生息地を追われ、2000年には絶滅危惧II類(VU)(環境省レッドリスト)に指定された。
よくアメリカザリガニの移入と棲息域拡大によって棲息域を奪われ、徐々に棲息地と棲息個体数を減らして行ったと語られることがあるが、これは大きな間違いで、ニホンザリガニが生息している地域にはアメリカザリガニは生息できない。また、アメリカザリガニの幼体が本種と似ているため、関東以南で「昔はこの辺りでもニホンザリガニがいっぱいいた」という話を聞くがほぼ100%ニホンザリガニでは無い。